シロアリは「家を食べる害虫」としてよく知られていますが、
普段シロアリの姿を目にすることはほとんどありません。
シロアリとは、いったいどんな生き物なのでしょうか。
シロアリ被害から大切な住まいをしっかり守るためには、
まずシロアリの特徴や生態を知ることが肝要です。
シロアリって何? その特徴や生態について
シロアリと呼称していますが、蟻はハチ目の昆虫で、
シロアリは朽木などの死んだ植物を食べるゴキブリの中から社会性を著しく発達させた系統の昆虫です。
不完全変態のため、幼虫は成虫とほぼ同じ姿で、ある程度成長すればニンフ(擬蛹)という段階を経て、
生殖虫(羽アリ)となって巣外へ出て行きます。
触角は数珠状。口器は咀嚼型。頭部・胸部・腹部はその間でくびれはなく、
腹部は膨らんで柔らかいのが特徴です。
日本のシロアリは巣の中に留まるので白っぽく、足が短く不活発なものが多いです。
1匹で行動することはなく、階層のあるコロニーと呼ばれる集団で生活します。
また、大きさは種類によって違いますが、
働きアリは5mm~8mm、羽アリが4mm~7mmほどの大きさです。
日本に多く生息する2種類のシロアリ
日本本土に分布するのは、ヤマトシロアリと、イエシロアリです。
*ヤマトシロアリの特徴
日本各地で、多くの被害が報告されているシロアリです。
ヤマトシロアリは暑さや乾燥に弱く、自分自身で水を運ぶ能力がないため、
普段は日の当たる地上に現れることはなく、枯れ木の内部に巣を作って活動しています。
巣は網目状になった孔の連続からなり、その周辺を食べながら木くずで固めたトンネルを造り、
内部を移動します。
ほぼ地面に近い床下やバスルーム、キッチンなど日常的に湿気の多い場所を好み、
結露や湿気の多い建物では、天井まで被害が及ぶこともあるため注意が必要です。
*イエシロアリの特徴
ヤマトシロアリとは違い、地下に穴を掘り、木くずや土で固められた大きな巣を作ります。
木造の建物だけでなく、切株や樹幹などにも巣を作るので、倒木や腐朽の原因となることがあります。
1つの巣(コロニー)の中の個体数は100万匹に及ぶものもあると言われ、
この巣を中心にしてトンネルを掘り、あちこちに蟻道をつくって行動範囲を広げるのが特徴です。
しかも、水を運ぶ能力があるイエシロアリは、
乾燥した建物でも自分で湿らせることによって木材を食べやすくする習性があり、
木材や木の表面にはほとんど出てこないため、
気付いたときには甚大な被害になっていたということもあります。
シロアリの卵と女王アリ
シロアリは、女王アリが1匹で卵を産み、巣を大きくします。
卵は1つの巣に数千~数万個存在するといわれています。
シロアリの女王アリは特徴的で、見分けるのは簡単です。
一番の特徴は腹部が肥大化している点で、産卵に特化した体をしている分、
その繁殖力は絶大で、女王アリが1日に産む卵の数は約25個ほど。
毎日欠かさず産み続けるので、1年で約1万個近くの卵を産むことになります。
そのほとんどが、1ヶ月~3ヶ月程度で孵化します。
そのため増殖スピードが速く、シロアリを駆除する際は、女王アリを確実に仕留めなければいけません。
もし被害を見つけたら、殺虫剤・殺虫器などで駆除し、忌避効果のある薬剤で浸食防止措置を行います。
もし、被害が大きい場合は専門家に調査を依頼してください。
まとめ
シロアリがどんな生き物で、どんな被害を家にもたらすのか、ご理解いただけたでしょうか。
シロアリは自然界では、死んだ植物の分解役として非常に重要な役割を持っていますが、
その性質から木造住宅に甚大な被害を与えてしまうので、見つけたら徹底的に駆除しなけれいけません。
シロアリの被害を予防するための方法は、まずシロアリが棲み着きにくい環境を整えることが重要です。
床下の風通しをよくし、床下や建物周辺から、
木片・木くず・落ち葉・木の杭や柵・動物の死骸などを無くすとともに、
定期的に家屋の防蟻処理をしましょう。
今からでも対策を練って、大切なお家をシロアリから守りましょう。