日本の人口増加に伴い、主食であるお米の生産力を向上させることは非常に重要です。
しかし、稲を主食とする害虫による被害で収穫量が減ることで農業に大きな影響を及ぼしていることは事実です。
この記事では、水稲に被害を及ぼす病害虫のウンカについて、特徴や駆除方法をまとめました。
農家の方が時間をかけて大切に育てた稲が被害にあわないよう、適切な対策を施して稲を守りましょう。
病害虫のウンカについて
水稲に被害を及ぼすウンカは、体長5mmほどの小さな昆虫です。
また、主な種類はセジロウンカ、トビイロウンカ、ヒメトビウンカの3種類に分けられます。
下記にそれぞれ紹介します。
セジロウンカ
セジロウンカは7月から8月の夏の時期に多く発生することから夏ウンカと呼ばれています。
梅雨頃になると中国大陸の南部などから強い偏西風の流れに乗って日本に飛来し、
九州から東北まで広範囲で被害を及ぼします。
主な餌は稲であるため、餌のない冬は日本で過ごすことができません。
具体的な被害は、生育抑制やすす病などです。
生育抑制は、セジロウンカが稲の葉に産卵することで産卵部位が稲の成長を阻害します。
すす病は、セジロウンカの排泄物などを餌にしてすす病菌が稲に寄生することで発生します。
トビイロウンカ
トビイロウンカは9月から10月の秋の時期に多く発生することから秋ウンカと呼ばれています。
飛来数はセジロウンカに比べて少ないですが、
セジロウンカと同様に長距離を飛来し九州などで被害を起こします。
飛来したトビイロウンカは水田で繁殖を繰り返し、
大量発生すると収穫間際の稲が局所的に被害を受け、
水田に穴があいたように枯れてしまう坪枯れを起こします。
ヒメトビウンカ
ヒメトビウンカはセジロウンカ、トビイロウンカとは違い日本でも冬を越すことができます。
しかし、中国東部など海外から飛来したウンカによる被害も確認されています。
被害については、イネ黒すじ萎縮病やイネ縞葉枯病などのウィルスを
ウンカが媒介し他の稲に感染させることで感染が拡大します。
ウンカの駆除方法について
害虫を駆除するためには、一般的には天敵とされる動物や昆虫を利用することや
抵抗性のある品種を使うことが考えられます。
天敵としては、蜘蛛やカエル、トンボやアメンボ、そして雀などの生き物がいます。
ウンカに対して最も有効とされているのは、
今のところ育苗箱施用剤を使用した予防や農薬の散布です。
しかし、ウンカの種類により有効な薬剤に違いがあることがわかっているため
ウンカの種類に応じた薬剤の使用が必要です。
薬剤にはその働きによりいくつか種類があります。
代表的なものは、神経系への作用、エネルギー代謝の阻害、
成長の制御、摂食行動の停止による作用などです。
上記の中で、薬剤に抵抗のあるウンカにも効果があるとされているのはピメトロジンを含む薬剤です。
具体的な薬剤の効果としては、下記が挙げられます。
・摂食行動の阻害により餓死させる
・脚部を麻痺させることで行動を制限する
・産卵行動を抑制して個体数を減らす
以前使用していた薬剤の効き目が悪い場合には、上記のような薬剤を利用して駆除を試みます。
駆除する場合の注意
ウンカを駆除する場合、注意すべきことを紹介します。
ウンカは稲の株元に生息しているため、
稲が繁茂している場合は株元に薬剤が届くように散布します。
予防のために薬剤を散布することはもちろん、
坪枯れが確認された場合は周辺も含めウンカの被害が予想されます。
そのため、見つけ次第早急に防除することも重要です。
農薬の使用にあたっては、適正な時期に適正な量を使用するようにします。
まとめ
水稲に被害を及ぼす病害虫のウンカについて、その特徴と駆除方法についてまとめました。
ここで、重要なポイントを再度まとめます。
ウンカはセジロ、トビイロ、ヒメトビウンカ3種類に分けられます。
また、それぞれ飛来時期や稲への影響が異なります。
駆除方法は農薬散布が一般的ですが、薬剤に抵抗のあるウンカもいるため
ピメトロジンを有効成分とした薬剤が効果的です。